皆さんこんにちは!ベジ(Vegi)です。
皆さんは「バレット食道(粘膜)」と言うものをご存じでしょうか?
食道がんの危険因子として、最近注目されています。
今回はそんなバレット食道(粘膜)について分かりやすく解説します。
①バレット食道(粘膜)とは
バレット食道とバレット粘膜
バレット食道とは、 バレット粘膜がある食道の事で、「バレット粘膜」とは胃酸や胆汁酸の胃から食道への逆流(胃食道逆流症)により食道粘膜の炎症と修復を繰り返すことで、食道の扁平上皮(食物の運搬が主な役割)が刺激に強く酸環境に適した円柱上皮(食物の消化・吸収が主な役割)に置き換わった状態とされています[1]。
バレット食道には種類がある
バレット粘膜の長さが3cm以上で、食道全体に広がっているものは
LSBE(Long Segment Barrett Esophagus)、
3cm未満のものは
SSBE(Short Segment Barrett Esophagus)
と呼ばれています[1]。
②食道がんの原因って本当?
バレット食道のうち、 腸上皮化生(※1)があるLSBEにおいて発がんリスクがあることが明らかになっています。バレット食道による食道がんは、1995年以降欧米にて急速に増加し、2005年頃には食道がんの70%を占めるまでになりました。日本ではまだほとんど報告がありませんが、食の欧米化、肥満の増加,ピロリ菌感染率の自然低下、除菌治療の普及といった様々な要因から、今後増加することが懸念されています。
(※1)腸上皮化生
胃や食道など本来腸ではない消化器の粘膜が、腸の粘膜のような性質を持つ細胞に変化する現象です。これは慢性的な炎症や刺激に対する体の適応反応の一つですが、前がん状態とされることもあり、注意が必要です。
③予防方法は?
バレット食道の主な要因が胃食道逆流症なので、胃酸が逆流する要因を避けることがバレット食道の予防になります。具体的には以下のような生活習慣・食習慣を改善することです。
食習慣
生活習慣
- 食べ過ぎ
- 脂肪分の多い食物
- 就寝前の食事
- カフェイン入り飲料や炭酸飲料
- アルコール
- ストレス
- 重いものを持つ
- 前かがみの姿勢
- 右側を下にして寝る
- 肥満
- 喫煙
中でも、肥満の解消や右側を上にして寝ることは逆流症状の改善効果が高いとされています[2][3]。
④もしもバレット食道と診断されたら
ではもしもバレット食道と診断されてしまった場合はどうすれば良いのでしょうか?
過剰に心配するのは時期尚早です!日本人における、食道がんのリスクとされるLSBEの有病率は平均0.3%とされており、SSBE(有病率15.8%)に比べ明らかに低いと言えます[3] 。さらに、健康診断で内視鏡検査を受けた9121人を調べた研究では4190人(約45.9%)がバレット食道と診断され、その約8割に当たる3318人(36.4%)が1cm未満の超短距離バレット食道(USSBE)で、年間の食道がん発生率は0.0068%であったとする報告もあります[4][5]。現時点では、日本人においてはバレット食道と診断された方が食道がんになることはかなり稀であると言えるでしょう。
もしもバレット食道と診断された場合もまずは、バレット食道の主要因である胃酸の逆流が起こらないように上記に挙げた予防方法を行うことが第一になります。治療が必要な場合には、「プロトンポンプ阻害薬(PPI)」(※2)や「カリウム競合型アシッドブロッカー(P-CAB)」(※3)と呼ばれる胃酸の量を減らす薬の投与が行われます。また、症状に応じて胃の粘膜を保護する薬、消化管機能改善薬、漢方薬を併用することもあります[3]。
(※2)プロトンポンプ阻害薬(PPI)
胃の粘膜に存在するプロトンポンプを阻害することで胃酸の分泌を抑制する薬。商品名:タケプロン、パリエットなど。
(※3)カリウム競合型アシッドブロッカー(P-CAB)
PPIとは異なる作用機序で胃酸分泌を抑制する薬。商品名:タケキャブ
⑤まとめ
これまでバレット食道について紹介してきました。皆さんはどのくらい知っていましたか?全く知らなかったという方もおられるでしょう。日本ではまだ少ない疾患ですが、現代日本人の生活スタイルにバレット食道を引き起こすリスクは潜んでいます。皆さんもこれを機に一度自分の生活を見直してみてはいかがでしょうか?
参考にした文献・サイト
- ^川田, 河野, 中島. バレット食道・食道癌の診断・治療の要点. 日本消化器内視鏡学会雑誌. 2017;59(1):70-80. doi: 10.11280/gee.59.70.
- ^Schuitenmaker JM, van Dijk M, Oude Nijhuis RAB, Smout AJPM, Bredenoord AJ. Associations Between Sleep Position and Nocturnal Gastroesophageal Reflux: A Study Using Concurrent Monitoring of Sleep Position and Esophageal pH and Impedance. Official journal of the American College of Gastroenterology | ACG. 2022;117(2):346-51. doi: 10.14309/ajg.0000000000001588. PubMed PMID: 00000434-202202000-00028.
- ^日本消化器病学会, 日本消化管学会, Japan Esophageal S. 胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン. 改訂第3版 ed: 南江堂; 2021.
- ^Koike T, Saito M, Ohara Y, Hatta W, Masamune A. Current status of surveillance for Barrett’s esophagus in Japan and the West. DEN open. 2022;2(1):e94.
- ^Fukuda S, Watanabe K, Yoshida T, Takahashi S, Fujimori S, Horikawa Y, et al. Low risk of esophageal adenocarcinoma among patients with ultrashort‐segment Barrett’s esophagus in Japan. Digestive Endoscopy. 2022;34(4):757-65.



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