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#0038 風邪薬の成分比較してみた!(2)NSAIDs編

お薬コラム

皆さんこんにちは!べじ(Vegi)です!

今回は風邪薬に良く含まれているよく似た成分を薬剤師の視点で比較してみました!
第2回目は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれる成分のうち、

イブプロフェン
ロキソプロフェン
イソプロピルアンチピリン

の3種類を比較!さらに、第1回目でも紹介した成分の中でNSAIDsに分類されるサリチルアミドエテンザミドアスピリンも併せて比較します。どんな薬に含まれていて、薬効はどう違うのか?意外に知らない方も多いと思います。是非お役立ていただければと思います。

では早速見ていきましょう!

そもそもNSAIDsとは?

NSAIDsとは「NonSteroidal Anti-Inflammatory Drugs」の頭文字を取ったもので、 「非ステロイド性抗炎症薬」という意味になります。 ステロイド(糖質コルチコイド)ではないが炎症を抑える効果のある薬剤のことを総称してこのように呼ばれています。

炎症を起こす原因となる 「プロスタグランジン」という生理活性物質を作る酵素である 「シクロオキシゲナーゼ(COX)」の働きを阻害することが主な作用です。シクロオキシゲナーゼには2種類あり、
COX-1は血小板や胃、腎臓などに存在し、血小板の凝集(止血)や胃粘膜の保護、腎臓の機能の維持
COX-2は「誘導型」とも呼ばれ、細菌や免疫細胞が分泌するたんぱく質によって合成が促進されます[1][2]

各成分の特徴

イブプロフェン

市販薬ではイブA錠、イブクイック頭痛薬などのイブシリーズ、医療用ではブルフェン®などがあります。

服用後の効果の発現・消失ともに比較的速やかであると言えます(約1~2時間で血中濃度が最高に達し、1.5~2時間で半分になります)[3][4]

COX-1とCOX-2の両方をを同程度に抑える薬剤(「非選択的NSAID」と言います)とされており[5]胃粘膜保護機能や血小板の機能を低下させるリスクがあります[6]。このため、胃潰瘍の病歴がある方や、血液をサラサラにするお薬を服用中の方は注意が必要です。
また、4歳未満(幼児、乳児、新生児)に対する安全性は確認されていません

ロキソプロフェン

医療用はロキソニン®、市販薬はロキソニン®Sシリーズやロキソニン®風邪薬に含まれています。

ロキソプロフェンの大きな特徴はプロドラッグであることです。ロキソプロフェンは肝臓で代謝を受けて、活性体(作用を示す形)になります[7]。このような性質を持つ薬剤のことを「プロドラッグ」と呼びます。服用時には薬効がない形のため、胃を通過するときの胃への負担が少ないという特徴があります。

副作用として挙げられているのは、胃腸障害、吐き気、過敏症、血液障害(白血球減少症および溶血性貧血)、腎障害、薬剤性肝障害、ショック、アナフィラキシーなどです[7]消化性潰瘍や血液疾患、腎疾患、肝疾患の病歴のある方や腎臓や肝臓の機能が衰えている方は注意が必要です。
また、15歳未満(小児、幼児、乳児、新生児)に対する安全性は確認されていません

イソプロピルアンチピリン

市販薬ではプレコール®持続性カプセルやルルアタック®FXa、セデス®・ハイ、サリドン®Wiなどに、医療用ではSG配合顆粒やクリアミン®配合錠に含まれています。単剤ではなく、他の成分と組み合わせて使われています。

古くから使われている成分です。鎮痛作用の発現メカニズムはほかの非ピリン系NSAID(イブプロフェンやロキソプロフェン)と同様とされていますが、近年それに加えて新たに別の作用機序もある可能性が報告されました[8]

しかし、現在では主薬としてというより、アセトアミノフェンやイブプロフェンと併用することでその作用を補強する役割にとどまっている印象です。

その理由には、後述する様にアレルギーや重篤な副作用の報告があり他国では規制の動きがあることや、ほかの非ピリン系NSAIDやアセトアミノフェンといった比較的安全な代替薬の存在もあることが挙げられます。

他の成分との配合剤に含まれていることが多いので、成分の重複には注意しましょう。
イソプロピルアンチピリンは「ピリン系」に分類される成分です。ピリン系アレルギーを持っている方は服用できません

副作用としては、血液障害や肝障害、過敏症などの報告があり、海外では製造中止になっている国もありますが、国内では報告数が少なく(医療用では年間1万人当たり0.03~0.3人)、販売中止の判断はなされていません[9]

まとめ

同じ系統に分類されていて、風邪薬や鎮痛薬として同じような使われ方をする成分でも改めて見ると性格がそれぞれちがうことがおわかりになったかと思います。最後に、紹介したサリチルアミドエテンザミドアスピリンも含めて上記の特徴が一目でわかるよう表にまとめておきます。

※青字は医療用医薬品

成分名 主な商品名 特徴 注意点
イブプロフェン イブA錠
イブクイック頭痛薬など
ブルフェン®
効果の発現・消失が
比較的速やか
胃潰瘍にかかったことのある人、
抗凝固薬・抗血小板薬服用中
は服用に注意が必要
4歳未満への安全性は未確認
ロキソプロフェン ロキソニン®Sシリーズ
ロキソニン®風邪薬
ロキソニン
プロドラッグであるため
胃を通過するときの
胃への負担が少ない
消化性潰瘍や血液疾患、腎疾患
肝疾患の病歴のある方や腎臓や肝臓の
機能が衰えている方は注意が必要
15歳未満への安全性は未確認
イソプロピル
アンチピリン
プレコール®持続性カプセル
ルルアタック®FXa
セデス®・ハイ
サリドン®Wi
SG配合顆粒
クリアミン®配合錠
古くからある成分だが
近年、新たな作用機序が
示唆されている
ほかの鎮痛薬と併用することで
その作用を補強
ピリン系アレルギーの方は服用禁忌
国内では少数だが、
血液障害や肝障害、過敏症などの
副作用報告あり
サリチルアミド PL配合顆粒
ペレックス配合顆粒

パイロン®PL顆粒
など
解熱鎮痛作用、
抗炎症作用
(比較的弱め)
他の風邪薬、解熱鎮痛剤、
ワルファリンカリウム、
リチウム製剤と併用注意
エテンザミド ナロンエースT錠
ノーシン錠
新セデス®
など
脊髄にて疼痛抑制 他の風邪薬、解熱鎮痛剤、
ワルファリンカリウム、
リチウム製剤と併用注意
アスピリン
(アセチルサリチル酸)
バイアスピリン®
バファリンA81

バイエルアスピリン
抗炎症作用
解熱鎮痛作用
(低用量で)抗血小板作用
他薬との併用で胃潰瘍リスクあり
高用量で腎機能障害リスクあり
成人喘息患者でアスピリン喘息リスクあり

参考にした文献・サイト

  1. ^ Gunaydin C, Bilge SS. Effects of Nonsteroidal Anti-Inflammatory Drugs at the Molecular Level. Eurasian J Med. 2018;50(2):116-121. doi:10.5152/eurasianjmed.2018.0010
  2. ^Vane JR, Botting RM. Anti-inflammatory drugs and their mechanism of action. Inflamm Res. 1998 Oct;47 Suppl 2:S78-87. doi: 10.1007/s000110050284
  3. ^Ngo VTH, Bajaj T. Ibuprofen. [Updated 2024 Aug 11]. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2025 Jan-. Available from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK542299/
  4. ^ Weiser T, Schepers C, Mück T, Lange R. Pharmacokinetic Properties of Ibuprofen (IBU) From the Fixed-Dose Combination IBU/Caffeine (400/100 mg; FDC) in Comparison With 400 mg IBU as Acid or Lysinate Under Fasted and Fed Conditions—Data From 2 Single-Center, Single-Dose, Randomized Crossover Studies in Healthy Volunteers. Clinical Pharmacology in Drug Development. 2019;8(6):742-53. doi: 10.1002/cpdd.672.
  5. ^Brune K, Patrignani P. New insights into the use of currently available non-steroidal anti-inflammatory drugs. J Pain Res. 2015 Feb 20;8:105-18. doi: 10.2147/JPR.S75160. PMID: 25759598; PMCID: PMC4346004.
  6. ^Bushra R, Aslam N. An overview of clinical pharmacology of Ibuprofen. Oman Med J. 2010 Jul;25(3):155-1661. doi: 10.5001/omj.2010.49. PMID: 22043330; PMCID: PMC3191627.
  7. ^Shrestha R, Cho PJ, Paudel S, Shrestha A, Kang MJ, Jeong TC, Lee ES, Lee S. Exploring the Metabolism of Loxoprofen in Liver Microsomes: The Role of Cytochrome P450 and UDP-Glucuronosyltransferase in Its Biotransformation. Pharmaceutics. 2018 Aug 2;10(3):112. doi: 10.3390/pharmaceutics10030112. PMID: 30072626; PMCID: PMC6160907.
  8. ^Nassini R, Fusi C, Materazzi S, et al. The TRPA1 channel mediates the analgesic action of dipyrone and pyrazolone derivatives. Br J Pharmacol. 2015;172(13):3397-3411. doi:10.1111/bph.13129
  9. ^厚生労働省. イソプロピルアンチピリン製剤の安全対策について. 2023 Jun. https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001le8l-att/2r9852000001len4.pdf
  10. ^

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