皆さんこんにちは!べじ(Vegi)です!
今回は風邪薬に良く含まれているよく似た成分を薬剤師の視点で比較してみました!第1回目は風邪薬のメインである解熱・鎮痛作用のある成分である
アセトアミノフェン(パラセタモール)
サリチルアミド
エテンザミド
アスピリン(アセチルサリチル酸)
の4種類を比較!どんな薬に含まれていて、薬効はどう違うのか?意外に知らない方も多いと思います。是非お役立ていただければと思います。
では早速見ていきましょう!
①アセトアミノフェン(パラセタモール)
どんなお薬に入っているの?
医療用では「カロナール」、市販用では「タイレノール」や「ラックル」「小児用バファリン」などがあります。また、他の成分との配合剤として医療用は「PL配合顆粒」、市販薬では「パイロンPL顆粒」などに含まれています。
どんな効果があるの?
一部は中枢神経系を介して痛みや発熱を抑える作用であると考えられています[1]。抹消で炎症を抑える作用は平均的な抗炎症薬より弱いとされます[2]。
副作用や注意することは?
よく知られているものとして、肝臓へのダメージがあることが知られています。これは、アセトアミノフェンが肝臓で代謝されるときに出来る物質のひとつに肝臓を傷つける物質があるからです。通常治療に使われる量ではこの物質も解毒されますが、大量になると解毒が追い付かなくなり肝臓の細胞が炎症を引き起こすことが研究で知られています[3][4]。アルコールや抗てんかん薬、抗結核薬の一部はこの効果を助長する可能性があるため、併用には注意が必要です。
②サリチルアミド
どんなお薬に入っているの?
PLやぺレックスなどの「総合感冒薬」に配合されています。他の解熱鎮痛成分と組み合わせて使用されています。
どんな効果があるの?
「プロスタグランジン」という物質の合成を抑制することで発熱や痛み、炎症を抑える作用がありますが、比較的弱めとされます。また、「サリチル」とありますが、アスピリン(アセチルサリチル酸)のように血液の凝固を抑える作用はありません[5]。
副作用や注意することは?
他の総合感冒薬や解熱鎮痛薬と併用すると成分が重複し副作用が出やすくなるので注意が必要です。
また、 ワルファリンカリウム(ワーファリン®など)や リチウム製剤(リーマス®など)と併用するとこれらの薬が効きすぎてしまうことがあるため、服用されている方は注意が必要です。
③エテンザミド
どんなお薬に入っているの?
ナロンエースT錠、ノーシン錠、新セデス®錠など主に「頭痛・生理痛薬」に含まれています。医療用では単独のものもありますが、市販薬では他の解熱鎮痛成分と組み合わせて使用されています。
どんな効果があるの?
身体で代謝を受けてサリチルアミドになります。近年、 中枢(脊髄)にて疼痛を抑える作用を持つことが分かり、同じ機序で 三叉神経や血管内皮でも作用する可能性が考えられています[6]。さらに、 類似の解熱鎮痛剤による胃粘膜の損傷を軽減する効果も報告されています[7]。
副作用や注意することは?
基本的にはサリチルアミドと同じです。
他の総合感冒薬や解熱鎮痛薬と併用すると成分が重複し副作用が出やすくなるので注意が必要です。
また、 ワルファリンカリウム(ワーファリン®など)や リチウム製剤(リーマス®など)と併用するとこれらの薬が効きすぎてしまうことがあるため、服用されている方は注意が必要です。
④アスピリン(アセチルサリチル酸)
どんなお薬に入っているの?
医療用ではアスピリン腸溶錠(バイアスピリン®錠など)や配合錠(バファリンA81)に含まれ、 抗血小板薬として使用されています。市販薬ではバイエルアスピリンなどがあります。因みに、名前に「ピリン」とありますが、いわゆる「ピリン系薬剤」には含まれません。
どんな効果があるの?
古くから使われている成分で、 抗炎症、解熱、鎮痛作用があります[8]。また、 低用量で長期的に使用することで血小板の凝集を抑制する作用が現れます[9]。
副作用や注意することは?
他の薬剤との併用によって胃潰瘍を、高用量の使用によって腎機能障害を引き起こすことが知られています[9][10]。また、稀に喘息を誘発することが知られています。
この喘息は「アスピリン誘発性喘息」「アスピリン喘息」と呼ばれ、成人喘息患者の10%にみられます[11]。
これらの理由から、胃潰瘍やアスピリン喘息の病歴がある方はアスピリンを服用できません。
⑤まとめ
似たような成分でも少しずつ違った特徴があることがお分かりかと思います。市販薬を選ぶ時も自分の症状や体質を考慮して選ぶ事が大切ですね。
最後に、上記の特徴が一目でわかるよう表にまとめておきます。
| 成分名 | 主な商品名 | 薬効 | |
|---|---|---|---|
アセトアミノフェン |
カロナール タイレノール ラックル 小児用バファリン |
中枢神経系を介して 痛みや発熱を抑える |
多量投与で肝機能障害リスクあり アルコール、抗てんかん薬、 抗結核薬と併用注意 |
サリチルアミド |
PL配合顆粒 ペレックス配合顆粒 パイロン®PL顆粒 など |
解熱鎮痛作用、 抗炎症作用 (比較的弱め) |
他の風邪薬、解熱鎮痛剤、 ワルファリンカリウム、 リチウム製剤と併用注意 |
| エテンザミド | ナロンエースT錠 ノーシン錠 新セデス®錠 など |
脊髄にて疼痛抑制 | 他の風邪薬、解熱鎮痛剤、 ワルファリンカリウム、 リチウム製剤と併用注意 |
| バイアスピリン® バファリンA81 バイエルアスピリン |
抗炎症作用 解熱鎮痛作用 (低用量で)抗血小板作用 |
他薬との併用で胃潰瘍リスクあり 高用量で腎機能障害リスクあり 成人喘息患者でアスピリン喘息リスクあり |
参考にした文献・サイト
- ^Chandrasekharan NV, Dai H, Roos KL, Evanson NK, Tomsik J, Elton TS, Simmons DL. COX-3, a cyclooxygenase-1 variant inhibited by acetaminophen and other analgesic/antipyretic drugs: cloning, structure, and expression. Proc Natl Acad Sci U S A. 2002 Oct 15;99(21):13926-31. doi: 10.1073/pnas.162468699. Epub 2002 Sep 19. PMID: 12242329; PMCID: PMC129799.
- ^Graham GG, Davies MJ, Day RO, Mohamudally A, Scott KF. The modern pharmacology of paracetamol: therapeutic actions, mechanism of action, metabolism, toxicity and recent pharmacological findings. Inflammopharmacology. 2013 Jun;21(3):201-32. doi: 10.1007/s10787-013-0172-x. Epub 2013 May 30. PMID: 23719833.
- ^ Yan M, Huo Y, Yin S, Hu H. Mechanisms of acetaminophen-induced liver injury and its implications for therapeutic interventions. Redox Biol. 2018 Jul;17:274-283. doi: 10.1016/j.redox.2018.04.019. Epub 2018 Apr 22. PMID: 29753208; PMCID: PMC6006912.
- ^ Gibson JD, Pumford NR, Samokyszyn VM, Hinson JA. Mechanism of Acetaminophen-Induced Hepatotoxicity: Covalent Binding versus Oxidative Stress. Chemical Research in Toxicology. 1996;9(3):580-5. doi: 10.1021/tx950153d.
- ^ Meythaler J, Nelson J, Miller L, inventors; individual, assignee. Salicylate therapeutic compound and process for controlled delivery thereof. United States2006.
- ^ Nikaido T, Maruyama C, Hamanaka M, Yamaguchi C, Fujimaru Y, Nakanishi Y, et al. Ethenzamide Exerts Analgesic Effect at the Spinal Cord via Multiple Mechanisms of Action Including the 5HT2B; Receptor Blockade in the Rat Formalin Test. Biological and Pharmaceutical Bulletin. 2020;43(5):839-47. doi: 10.1248/bpb.b19-01050.
- ^Nikaido T, Muroga S, Maruyama C, Fujimaru Y, Asano T, Takaoka A. Ethenzamide Exerts Protective Effects against Ibuprofen-Induced Gastric Mucosal Damage in Rats by Suppressing Gastric Contraction. Biological and Pharmaceutical Bulletin. 2021;44(3):332-7. doi: 10.1248/bpb.b20-00479.
- ^Vane JR, Botting RM. The mechanism of action of aspirin. Thrombosis Research. 2003;110(5):255-8. doi: https://doi.org/10.1016/S0049-3848(03)00379-7.
- ^Smith WL, Langenbach R. Why there are two cyclooxygenase isozymes. The Journal of Clinical Investigation. 2001;107(12):1491-5. doi: 10.1172/JCI13271.
- ^>D’Agati V. Does aspirin cause acute or chronic renal failure in experimental animals and in humans?. Am J Kidney Dis. 1996;28(1 Suppl 1):S24-S29. doi:10.1016/s0272-6386(96)90565-x.
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